タタール人の砂漠 ブッツァーティ作。脇 功 訳。岩波文庫。
ブッツァーティ(1906~72、イタリア)
将校に任官して初めての任地が、バスティアーニ砦。辺境な地から、早く、逃げ出そうと考えていたドローゴ中尉だが、運命なのか、バスティアーニ砦から逃れることは・・・。
(以下引用)
ただ敵を待つために、人生のもろもろの善きことを棄ててきた彼を、三十年以上もの間、ただその思いのみを培ってきた彼を、その彼を、ようやく戦さが起ころうとしている今になって、追い払おうというのか?
あそこで彼は世間から隔離された生活を送ってきたのだ、敵を待って三十年以上も耐えてきたのだ、そして敵が来襲してきた今になって、彼はそこから追い払われたのだった。一方、彼の同僚たちは、町で安逸な、楽しい暮らしを送って来たほかの連中は、栄光を横取りしようと、傲慢にも嘲笑を浮かべながら、峠を越えてやって来ているのだ。
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