エヴァンゲリオン Q
と同時上映の巨神兵東京に現わる 劇場版
監督 樋口真嗣
脚本 庵野秀明
ナレーター 林原めぐみ
音楽 岩崎太整
製作会社 特撮研究所
カラー
スタジオジブリ
公開 2012年11月17日
上映時間 10分7秒
製作国 日本
言語 日本語
昨日の夜の事だった
私の一人暮しのマンションに
大学生の弟が突然やってくる
実家でも弟が私の部屋に入ったことなんかなかったので
私のベッドとか服とかおいてある空間に弟がいるという光景がなんか不思議
すると弟がいう
(この日常、
ぶっ壊すって感じで
申し訳ないんだけどさ)
なにこの光景、酔っ払ってんの
(大きな災いがやってくる)
あんた何言ってるの
それネットとかのデマの話じゃなくて信じるのあんた
そこまで馬鹿じゃなかったよね
(唐突でごめんな。)
(でもマジで、この街は明日全部壊れるよ)
(災厄ってさ、
本当は不意に襲って
くるんじゃなくて、)
(実際には予兆だって
警告だってあるんだ。)
弟にしか見えない男の子と
二人きりでも向かいあっていて
でも、絶対こんなこと言わないよな
と思ってなんか恐くなる
なんなのあんた
誰なの
(僕は警告だよ。)
恐い
不思議な事が起こっている
でもそれを覚えておくべきだったのだ
不思議な事
突飛な事だって起こるのだ
弟が言う
(いつもの通りの日常を
過ごしている時に、)
(予兆とか警告の唐突さに
どう向き合えるかが
重要なんだ。)
ちょっと
私の背中がゾクゾクする
この子普通じゃないよ
絶対おかしい
私の足が震え始めると
弟が少し笑う
(じゃあ姉ちゃんに
任したからな)
(意地悪するみたいで
申し訳ないけど
もちろんその反対だよ)
そしてそのまますっと薄くなり
消える
私は昨日の夜のうちにちゃんと伝えるべきだったのだ
もっと大きな声で叫ぶべきだったのだ
今住んでいる街がなくなるとか
いつもの日常がなくなるとか
普通に生きていて、どうやって言うの
でももうそんな警告
届かない
伝わらない
最悪そのものは
今目の前で立ち上がり
(明日が来る前に、
この街から
逃げ出しなさい)
創造主ばかりの神ではない
自分の願いや、祈りをききとどけ
かなえてくれる存在だけが神というわけではない
大きな最悪が人間と似た形で空から降りてきて
私たちにはわかる
恐れこそが神の本質なのだ
だから人間たちは自分たちに危害を加え
命を奪おうとするものにも手をあわせ膝を折り、拝み、祈る
〈〉破壊の場面
〈〉東京タワー破壊
世界には寿命がある
なのに
僕たちに任せても
世界がダラダラと延命するだけなので
世界は強引にあいつらを召喚する
そのとき僕たちは全ては終わるべくして終わるんだと知る
でも
僕たちはひたすら生きつづけたかったのだ
世界を終わらせたくなかったのだ
(第一の日、
人と地上の生き物が
消える)
創造の神は七日間でこの世界を造ったらしい
(第二の日、
この世から全てな
生き物がいなくなる)
僕たちだってこの世に色んなものを作ってきた
(第三の日、
太陽と月が壊され
昼も夜もなくなる。)
(第四の日、
地が沈み、
全ては水になる)
(第五の日、
水も空も失せる)
こんな風に一瞬にして色々壊されていくように見えるけど
多分壊す方だって同じくらい時間がかかるに違いない
(第六の日、
光が消え、全ては
闇と混沌に包まれる。)
炎が世界を壊すのに七日間かかるので
それだけ逃げるチャンスはある
逃げろ、生きのびろ、新しい世界を自分で作ればいいんだ
(第七の日、
災いは仕事を終え、
安息の喜びの中で
静かに泣く。)
世界の意志なんて知るものか
雨の気持ちなんて考えるもんか
終わる世界の中で
私以外の存在の希望をいだきながら私は生き、逃げながら待っている
(これが、
これから始まる
火の七日間
である。)
新世界の訪れの前の
巨大な炎がやってくる